血糖値を下げる飲む薬について



2型糖尿病の治療の基本は食事食事、運動療法です。食事療法や運動療法を行っても血糖管理が不良の場合は、血糖値を下げる薬を飲む治療が行われます。
患者さんの病態(ご自分の膵臓のインスリンを出す働きやインスリンの働きをまずは検査させていただきます)・年齢・生活様式・経済状態・理解力など個人の病状に即した薬の選択を行わせていただいております。
いずれの薬も単独、少量から始め、病状に応じて増量、併用、変更を行っていきます。

@インスリンの分泌が保たれている場合、インスリンの働きが悪い場合(太りすぎの方に多い)にはビグアナイド薬やインスリン抵抗性改善薬に加えて2014年から発売されているSGLT2阻害薬が選択されます。
A:
ビグアナイド薬は肝臓や脂肪、筋肉でのインスリンの働きを改善します。発がんを抑える効果も期待されています。1日1〜3回服用します。ただし、下痢、吐き気といった副作用が出現することがあり、また大酒家や肝臓や腎臓の働きが悪い場合、体調の悪い場合、造影剤検査をする場合には乳酸アシドーシスといった副作用を生じることがあるため使用することが避けられます。
B.
インスリン抵抗性改善薬にはアクトスという薬があります。1日1回服用します。アクトスは食事療法が適切に行われていない場合は体重が増加しやすく、女性にむくみが出やすい、骨の弱い方には骨が脆くなりやすい、海外で膀胱がんが発症したといった副作用が報告されていますが、動脈硬化を予防するといった面で期待がもたれている薬です。
C.
SGLT2阻害薬は腎臓尿細管に作用して尿糖排泄量を増やして血糖値を下げる薬で1日1回服用します。体重減少が期待されます。適正な処方によっては心臓や腎臓の働きを保護する研究結果も報告されるようになりました。
頻尿、多尿、陰部感染症、尿路感染症、脱水に注意が必要です。

Aインスリンの分泌が低下している場合にはグリニド薬、αグルコシダーゼ阻害薬、SU薬、DPP-4阻害薬が選択されます。
D.グリニド薬は食事直前に飲む薬で膵臓から直ちにインスリンを分泌させる薬です。食後の血糖値を下げる薬です。
E.αグルコシダーゼ阻害薬は食事直前に飲む薬で小腸からの糖が吸収されるのを遅らせる薬です。食後の血糖値を下げる薬です。おならが出やすい、腹満感といた副作用が出ることがありますが、ベイスンは糖尿病の前段階(予備群)の方で高血圧などを合併している場合にも処方することができる薬です。
F.SU薬は膵臓を常に刺激してインスリンを出させる薬です。1日1〜2回服用します。空腹時血糖を下げる薬ですが、食事量が少なかった場合や、薬を多く飲みすぎた場合、激しい運動をした場合などに低血糖といって、血糖値が正常の70から100mg/dlより下がりすぎて、
空腹感、冷や汗、手のふるえ、動悸といった症状が出現します。このような症状が出現した場合にはただちに血糖を上げるために、砂糖、ブドウ糖を水でのむ、ブドウ糖入りのジュースなどを飲むことが必要になります。対処が遅れた場合、けいれんや意識障害がおこることがあります。また、空腹感を低血糖と勘違いをして、食べ過ぎ体重が増える場合もありますので、注意が必要となります。
G.DPP-4阻害薬は2009年に発売された薬です。インクレチンという腸から分泌されるホルモンの分泌を促し、膵臓のインスリンを血糖依存的に分泌を促す薬です。インクレチンはDPP−4という酵素で分解されて、作用が短いため、作用を長くさせるのがこの薬になります。低血糖や体重増加をきたしにくく、弱った膵臓の働きを再生するといったことが動物実験の結果から期待されています。毎日1〜2回服用する薬と
週1回服用する薬(下段右上段に示す)があります。
H:SGLT2阻害薬、DPP-4阻害薬以外の薬はジェネリック医薬品が発売されていますし、下段右下段に示す配合錠に加え、DPP-4阻害薬とSGLT2阻害薬が配合された薬として 2017年9月にカナリア配合錠、 2018年3月にスージャヌ配合錠、11月にはトラデ
アンス配合錠AP/BPとDPP-4阻害薬とメトホルミンが配合されたメトアナ配合錠LD/HDも発売されており薬の数、薬代を少しでも減らしたい方には考慮して処方しています。SGLT2阻害薬が併用されているので体調不良時には休薬が必要になります。
下段にはまだ入っていませんが、2021年新たに登場した2つの薬があります。
I:
GLP-1受容体作動薬(リベルサス):GLP-1という腸から分泌されるホルモンで注射薬として発売されていましたが、のみ薬として登場しました。血糖値を下げ、体重を減量することができる薬です。空腹時にコップ約半分程度の水で飲む必要があります。副作用として吐き気、便秘、下痢などに注意が必要です。1日1回3mgから始めて効果が不十分な際には14mgまで増やすことができます。
J:
イメグリミン(ツイミーグ):いままでの薬と全く異なる作用(ミトコンドリアに作用し膵臓のインスリンの分泌を促進したり、肝臓、筋肉、脂肪でのインスリンの働きを改善する)を有する薬です。1日2回飲む必要があります。

当院では当院スタッフはもちろんのこと、門前薬局には糖尿病療養指導士の資格を。有する薬剤師が在籍しており丁寧に薬に関する情報を提供させていただきます。






 
インスリン注射について

インスリン注射には作用時間により超速効型、中間型、持効型、混合型があります。現在使用されるインスリンはヒトインスリンアナログ製剤で超速効型は食事前に注射を行うことにより、すみやかに食後のインスリンを補うことができます。2020年には食直前、開始後20分までに注射をすることで従来の超速効型よりより速やかに効果を発揮フィアスプ注、ルムジェブ注も発売されています。また、持効型は24時間の基礎インスリンを補うことができます。この持効型インスリンにGLP-1受容体作動薬が配合されたソリクア配合注、ゾルトファイ配合注も発売されています。
1型糖尿病の方では超速効型を毎食直前に寝る前に持効型を注射する頻回インスリン注射が主流となっています。また持続的にインスリンをポンプで注入する(CSII・SAP)といった方法もございます。ポンプも従来の形と異なり注入チューブのないメデイセーフウィズも発売されています。
インスリンのジェネリック バイオシミラー(グラルギン、リスプロ、アスパルトも発売されています。

2型糖尿病の方でも糖尿病歴が長く、血糖値を下げる飲み薬をのまれていても血糖管理が不十分な場合にはご自分の膵臓が疲れ、インスリンの分泌が悪くなった場合にもこの方法が使われています。しかしながら、1日4回注射が困難な場合には混合型といって超速効型30%+中間型70%、また超速効型25%+中間型75%、超速効型50%+中間型50%が1本のインスリンに混合されている30ミックス、25ミックス、50ミックスという注射があり、これらを1日1から3回注射をする方法もあります。また、高齢者や視力障害者などインスリン注射に見守りや介助を要する方の場合や針を刺すのがどうしても怖い、痛いと思われる方には血糖値を下げる飲み薬に持効型インスリンを1回だけ注射するといった方法もございます。
インスリン注射というと、一生注射をしなくてはいけない、痛い、面倒だ、と考えて躊躇されておられる方もいらっしゃるかと思いますが、現在は適切な時期にインスリン注射の助けを一時的に借りることにより、高血糖を解除し、インスリン注射から離れられる場合もございます。また、注射が面倒だと思われる方も多いと思われますが、使い捨て可能な注入器や万年筆のようにカートリッジ式になったインスリンを詰め替えて使用するペン型注入器も数種類ございます。痛いと思われる方も痛みが少ない針(採血する針とは比べ物にならないぐらい細い針をお腹に刺すだけ)もございますので、ご安心ください。インスリンは腹壁や太ももに皮下注射します。患者さんの状態や生活の質などに合わせた注射の種類、注射回数などをご提案させていただき、お選びいただくことができます。インスリン注射は入院をしないとできないと思われていらっしゃる方も多いと思いますが、当クリニックでは外来でスタッフが指導し、開始することが可能です。





GLP-1受容体作動薬の注射について

小腸から分泌されるインクレチンというインスリンを血糖依存性に分泌させるホルモンのうちGLP−1は血糖低下作用とともに食欲抑制作用や心臓保護作用を有することが知られていました。下段は1日1〜2回注射で単独、または血糖値を下げる薬では血糖管理不良な場合に併用することができます。いずれの薬剤も吐き気などの副作用があるため、少量から開始し、増量していきます。血糖改善作用が期待されるとともに体重を減量することが可能ですし、腎臓の働きを保護する報告もされています。
インスリン注射と同様の細い針をつけ、簡単なペン型使い捨て注射器で腹壁に皮下注射を行います。



また週1回の注射薬(下段)も発売されています。針を付ける必要がなく、針が見えないので針が怖いという方でも簡単な操作で自己注射をすることが可能です。








インスリン製剤を含めた糖尿病についてのホームページの紹介

ノボ ノルデイスク 糖尿病サイト

リリー 知りたい!糖尿病






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